独裁者の復讐兵器
いきなり、ものものしいタイトルですが、写真のミサイルはV-1と呼ばれ、敗色濃厚なナチスドイツが繰り出した飛行爆弾です。正式名称はFi-103、STOL性(短距離で進空可能)の高い連絡機などを生産したフイーゼラー社の手によるものです。こんなものが空から落ちてきて爆発するのでは、ロンドン市民もたまったものではないな。
今夏訪れたフランスはペリグーという町の博物館に陳列されていました。調べたところ、ドイツでも軍の縄張り争いは熾烈で、同じような兵器でも、元祖・巡航ミサイルのV1は空軍、弾道ミサイル第1号のV2は陸軍、と担当が分かれていました。
前に読んだ書物では、V1の発射場は投影面積がかなりあるため、連合軍の攻撃機から見つけやすく破壊容易だったが、V2のそれはほぼ上空から見て点なので見つけにくく破壊困難、このためV2の方が脅威であった、はずなのですが。
今回、いろいろ資料を見てみると、意外にも与えた損害はV1の方が大きいそうです。生産された弾数が多く、構造が簡単なパルスジェットを用いて速度が遅いため途中での自爆も少なかったから、らしいのです。なお、V1を迎撃するシーンは、先ごろ製作された映画「SPITFIRE」にも出てきます。しかし、ミサイルだけでなくジェット機、重戦車など新兵器を輩出させながら、世界大戦の最後でかならず負けるドイツというのも、ねえ。外交は戦争より重要、ということなのかな。
どういう視点から評価するかにより、見解は異なるものですね。