乗り物あっちこっち

 乗り物中心に、身辺雑事、旅行記、書評など肩のこらないエッセイを綴ります。気軽におつきあいください。

人名のついた国際空港

 

 空港に人名がつく場合、2つのパターンがあるようです。その国の著名な人物というのは、シャルルドゴール、レオナルド・ダ・ヴィンチが代表的です。もうひとつ、著名とはいいにくいが、航空界の先人をたたえて、というのがあり、サントス・デュモンと並ぶのが、このジーン・バッテン国際空港、といっても誰も知らないでしょうが、NZはオークランドの空港です。ちゃんと使用機と肖像画も展示されており、ここNZへの航空路を開拓した女性の飛行士です。

 そういえば、21世紀に入ってNZでは4人の首相がいますが、現在のアダーンさんを含め、半数の2人が女性です。男女平等では世界の最先端といっても、過言ではないでしょう。

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独裁者の復讐兵器

 

 いきなり、ものものしいタイトルですが、写真のミサイルはV-1と呼ばれ、敗色濃厚なナチスドイツが繰り出した飛行爆弾です。正式名称はFi-103、STOL性(短距離で進空可能)の高い連絡機などを生産したフイーゼラー社の手によるものです。こんなものが空から落ちてきて爆発するのでは、ロンドン市民もたまったものではないな。

 今夏訪れたフランスはペリグーという町の博物館に陳列されていました。調べたところ、ドイツでも軍の縄張り争いは熾烈で、同じような兵器でも、元祖・巡航ミサイルのV1は空軍、弾道ミサイル第1号のV2は陸軍、と担当が分かれていました。

 

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 前に読んだ書物では、V1の発射場は投影面積がかなりあるため、連合軍の攻撃機から見つけやすく破壊容易だったが、V2のそれはほぼ上空から見て点なので見つけにくく破壊困難、このためV2の方が脅威であった、はずなのですが。

 今回、いろいろ資料を見てみると、意外にも与えた損害はV1の方が大きいそうです。生産された弾数が多く、構造が簡単なパルスジェットを用いて速度が遅いため途中での自爆も少なかったから、らしいのです。なお、V1を迎撃するシーンは、先ごろ製作された映画「SPITFIRE」にも出てきます。しかし、ミサイルだけでなくジェット機、重戦車など新兵器を輩出させながら、世界大戦の最後でかならず負けるドイツというのも、ねえ。外交は戦争より重要、ということなのかな。

 どういう視点から評価するかにより、見解は異なるものですね。

V字型の尾翼

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 これはフランス、toulouseのエアバス博物館にある機体で、フーゴ社のマジステールという戦闘機です。光線の具合で見えにくいのですが、珍しいV字型の尾翼です。軽飛行機には採用例がありますが、軍用機にはまれですね。

 初期のジェット機では推力が不足したので、エンジンが2基ついています。脚が短いのは、軽量化を目的としたからでしょうか。世代的にはアメリカのF86セーバーなどと同じく第1世代で、1950年代から60年代に飛んでいたものです。

 フランスの乗り物産業はなかなかユニークで、この他にも、シュドカラベルのリアエンジン、シトロエンの油圧制御サスペンションなど、独自の機構を実用化しています。人と同じことはしたくない国民性のせいか、反面、かつての大統領であるシャルル・ドゴールは「チーズが400種類もある国を治めるのはたいへんだよ」と嘆いています。

 

 

 

台湾の不思議なトラム

 2年前の夏、台湾の南部を訪ねました。高雄に新しくできたのは、「電車だけれど架線がない」という、不思議なトラムです。どうやって集電するかというと、停止時にパンタグラフを上げるのです。市街では駅間が短いこともあり、問題ないのでしょう。景観や管理コストからも、好ましいと思われます。上の写真から、集電している様子がわかります。

 ドイツなどでは、幹線鉄道に乗り入れるトラムがありますが、そういう路線では採用しにくいですね。日本の「相互直通」も、50年以上の歴史がある方式ですが、現在の形になるまで、試行錯誤あり大工事(改軌した会社もあった)あり、なかなか、一筋縄ではいかないようです。

 クルマも電車も、動力に技術革新のみられる昨今ですが、私見では、いろいろ、実験しつつ着実に進めるのが賢明ではないかな、と思います。1950年代の駆動方式を考えても、直角カルダン、垂直カルダン(まるで鉄道模型)などテストされ、現在の平行カルダンに落ち着いたのですから、ねえ。

 

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むかしむかし、あるところにmodel T

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 アメリカ西海岸などと並び、NZでは気候がよいため、自動車の保存に向いています。写真は、街並みリノベーションの完成イヴェントで撮影しました。交通史あるいは経営戦略上も有名なFord model Tが、こうした街の行事に登場して注目を集めています。何かというと、Vintage Car Parade があり、パッカード、シヴォレー、MG、モリスなど、車齢30年から60年というクルマが行進し、さながら自動車博物館状態になります。

 写真で注目してほしいのは、ナンバープレートのあたり、クランク棒が見えます。なんと、このT型には、セルモーターがなかったのです。つまり、発進のたびに、外に出てこいつを回し、エンジンを始動させるわけです。 雨や雪の日はつらい、ということで、セルつき、車体色などの選べる競合のGM車に、Fordはシェアを奪われていったそうです。

 そういえば、かつての愛車であるゴルフⅡも、後席にはパワーウインドウがなかったなあ・・。